花山(かざん)天皇が都を治め、人と鬼(妖し)が共に生きていた時代。
鬼を恐れる人々を救うべく存在している陰陽師。
その中でも1、2位を争う実力をもっているのが、政府公認にして国随一の陰陽師と名高い安倍晴明(あべのせいめい)と、民間ながら晴明と互角の実力を持つといわれる葦屋道満(あしやどうまん)の2人だった。
彼らの活躍により都は平和を保っていた…が、それは表向きの話。
実際は妖しの他に、人間の醜い争いの邪念から生まれた悪い鬼も存在し、道満はそういった類を利用して都を滅ぼそうと密かに画策していた。
そんな中、幼い主人公は晴明とその式神の妖狐に目の前で母を殺されてしまう。
恐怖と怒りで気を失ってしまった彼女が目覚めたのは道満の庵。
たった1人の肉親を失い身寄りがなくなった主人公を、道満が引き取ったのだった。
それから月日は流れ―。
主人公は白拍子(しらびょうし)として芸事にいそしみながら、「いつか憎き仇である安倍晴明と妖狐を葬る」ただその思いだけを糧に、恩人である道満の手駒として働いてきた。
そして好機は訪れる―――。